今日は、令和6年度 第39問について解説します。

令和6年度賃貸不動産経営管理士試験 第39

賃貸人が事業者、賃借人が消費者である賃貸借契約における特約の有効性に関する次の記述のうち、消費者契約法によれば、誤っているものはどれか。

 

①  賃借人の債務不履行を理由として賃貸人が賃貸借契約を解除した場合において、賃貸人が賃借人に対して請求する違約金につき、賃貸人に生ずべき平均的な損害の額を超える額を定めた違約金の特約は、全部無効である。

②  賃貸人の債務不履行により生じる賃借人の解除権をあらかじめ放棄させる特約は、無効である。

③  賃貸人の債務不履行により賃借人に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する特約は、無効である。

④  賃貸人の故意又は重過失による債務不履行により賃借人に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する特約は、無効である。

 

 

解説

消費者契約法に基づく賃貸借契約の特約の有効性に関する問題です。

 

それではさっそく選択肢を確認しましょう。

 


選択肢 ①

賃借人の債務不履行を理由として賃貸人が賃貸借契約を解除した場合において、賃貸人が賃借人に対して請求する違約金につき、賃貸人に生ずべき平均的な損害の額を超える額を定めた違約金の特約は、全部無効である

 

×不適切です

消費者契約において、解約料(損害賠償の額や違約金)を定める条項がある場合、解約料の額が解除事由や時期に応じた平均的な損害の額を超える場合、超過部分は無効となります。しかし、全額が無効になるわけではありません。

つまり、賃借人の債務不履行を理由として賃貸人が賃貸借契約を解除した場合において、賃貸人が賃借人に対して請求する違約金につき、賃貸人に生ずべき平均的な損害の額を超える額を定めた違約金の特約は、平均的な損害の額を超える部分は無効となります。よってこの選択肢は不適切です。

 


選択肢 ②

賃貸人の債務不履行により生じる賃借人の解除権をあらかじめ放棄させる特約は、無効である。

 

〇適切です。

事業者(賃貸人)に債務不履行があっても、消費者(賃借人)が契約を解除できないとする特約は、消費者にとって不利なものとなります。

そのため、消費者契約法では、事業者の債務不履行に基づく消費者の解除権を放棄させる特約や、事業者が解除権の有無を一方的に決定できる特約は無効と規定されています。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ③

賃貸人の債務不履行により賃借人に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する特約は、無効である。

 

〇適切です。

消費者契約法では、事業者の損害賠償責任を免除する特約の効力を制限しています。

選択肢の説明の通り、賃貸人(事業者)の債務不履行によって賃借人(消費者)に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する特約は無効と規定されていますので、この選択肢は適切です。

 


選択肢 ④

賃貸人の故意又は重過失による債務不履行により賃借人に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する特約は、無効である。

 

〇適切です。

消費者契約法において、事業者の損害賠償責任を免除する特約の効力を制限する条項のひとつに、

事業者の故意または重過失による債務不履行によって消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する特約は無効とする規定があります。

選択肢の説明通りですので、この選択肢は適切です。

 


 

以上から、正解は選択肢①となります。

 

消費者契約法はおさえていなかった、という受験生も多いかと思います。

学習範囲外の問題が出題されると、焦ってしまいますよね。でも、わからない問題が出ても、一度問題をよく読んで考えてみてください。

 

例えば、「消費者契約法」とあるからには、消費者の保護が軸となる法律だろうと予想できます。
そのうえで、消費者にとって不利になりそうなものと、そうでもないものという視点で選択肢を読んでみましょう。

そうすると、選択肢②、③、④はいずれも消費者保護につながる内容だとわかりますね。

一方、選択肢①は、借主(消費者)にとって全額無効になったらラッキーと思えそうなので、一見、消費者保護のように見えます。
しかし、さすがに違約金がすべて無効になるのは行き過ぎであり、「消費者保護」としても平均的な損害の範囲内であれば有効ではないかと推測できます。

このように、本当にわからない問題に遭遇したときは、自分自身の良識による判断をしてみるのも一つの手です。

ただし、あまり時間をかけすぎないことがポイントになります。

参考になりましたら幸いです。

 

 

 

 

 

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